今回は、韓国語の初心者はどの参考書を買うべきなのかについてお話ししたいと思います。
どの本で勉強したらいいですかという質問は本当にたくさんいただきます。
私は、基本的にはアマゾンで売れている本、評価の高い本ならそれほど問題ないかなと思っていますが、中にはアマゾンでの評価は高くても、これはどうなんだろうと思うような本も実際にあります。
なぜなら、アマゾンでレビューを書いている人というのは、韓国語の学習者の立場で意見を書いているんですよね。
逆に私のように韓国語を教える立場の人が韓国語の入門書についてレビューを書くと言うことは、あまりないのではないでしょうか?
そこで今回は、韓国語の初心者の方が独学で学習するならまず買うべき一冊をご紹介しつつ、なぜその参考書がお勧めなのかという理由も含めてレビューしていきたいと思います。
ですので、今回の記事を読んだら、お勧めの参考書が分かるだけでなく、参考書選びのポイントが分かるようになります。
そうなれば、今後新しい参考書を買う際に、その参考書が良い参考書なのかそうでないのかが見分けられるようになります。
ですので、今回の記事を参考に、良い参考書を手に入れる目を養っていただけたらと思います。
良い参考書の特徴
先日私のサイトで、「皆さんの韓国語学習教材を教えてください」というアンケートを取らせていただいたところ、100人以上の方がアンケートに答えてくださいました。
協力してくださったみなさん、本当にありがとうございます。
その中で、見事第1位に輝いたのが、この「できる韓国語初級」でした。
そして、韓国語を独学で学ぼうとしている初心者が、最初に買うべき参考書としてお勧めしたいのも、この本です。
ちなみに2位に輝いたのは、「ゼロからしっかり学べる!韓国語 文法トレーニング」でした。
こちらも「ゼロから学べる」と言っているように、初心者向けの参考書です。
そこで今回は、この「ゼロから学べる」と比較しつつ、なぜ「できる韓国語」がお勧めなのかを解説していきたいと思います。
ただし、この記事を読まれている方の中にはすでに、この「ゼロから学べる」を使って勉強されている方もいると思います。
そういう方は、今から私が話す内容は、学習するうえでの注意点として聞いていただき、それを踏まえて引き続き「ゼロから学べる」を使って学習されたら良いと思います。
ではさっそく両者の比較をしていきたいと思います。なお、できる韓国語初級はIとIIがあるのですが、IとII両方を合わせた形で比較することにしたいと思います。
単語と文法のカバー範囲
まず始めは単語と文法のカバー範囲です。
つまり、この教材でいくつの単語と文法を学習できるのかということです。
私はすでに初級レベルの単語約1600と、文法約80の一覧を公開しています。
つまり、初級レベルの学習を終えると言うことは、だいたいこれくらいの単語と文法をマスターすると言うことになります。
ではこれに照らし合わせてこの2つの本を比較してみると、次のようになります。
単語の数 | 文法の数 | |
---|---|---|
できる韓国語 | 1200 | 70 |
ゼロから学べる | 800 | 50 |
トミの単語・文法リスト | 1600 | 80 |
※数字は約です。
ということで、単語数・文法数ともに「できる韓国語」の方が網羅性が高いことが分かります。
「ゼロから学べる」の本の中では、この本で中級レベルの基礎まで学べるというように説明されてはいるのですが、私はこの本+αでやっと初級レベルが学びきれるのかなといった印象です。
音声のカバー範囲
次に音声のカバー範囲です。
語学学習では基本的に、音声が付属されていない教材を買ってはいけません。
なぜなら、音声を聞かずに適当にカタカナのルビだけを読んで覚えた発音は、全く使い物にならないからです。
そして、一度間違った発音で覚えてしまうと、後から修正するのに2倍、3倍時間を取られてしまいます。
その点で言えば、今回はどちらの本もCDが付属していて音声が聞けるので、良い参考書だと言えます。
しかし、音声のカバー範囲に違いがあります。例えば韓国語学習の一番初めはハングル表の文字の発音を覚える所から始まると思いますが、「ゼロから学べる」は、母音と아の段の音声しかありません。
これは韓国語初心者にはちょっと説明不足かなと思います。
「できる韓国語初級」では、平音・激音・濃音全て含めて、一通りの発音を読み上げてくれています。
가나다라の文字を、正しい発音で読めるようになると言うのは韓国語学習の大事な第一歩ですので、音声でそこまでカバーされている方が、初心者にとっては適切な教材だと言えます。
「ゼロから学べる」の方は、数字の일, 이, 삼, 사や하나, 둘, 셋, 넷なども、説明が記載されているだけで音声による読上げはありませんでした。
こういう数字とかは、リズムで一気に覚えたらいいと思いますので、音声がないのは残念でした。
発音のカタカナ表記
次は発音のカタカナ表記についてです。
韓国語の文字の上に、カタカナのルビで発音を表記している参考書と、していない参考書がありますよね。
今回で言えば、「ゼロから学べる」はカタカナ表記があり、「できる韓国語初級」はカタカナ表記がほとんどありません。
これはもしかしたら、韓国語を教えている人の中でも意見が分かれるところかもしれませんが、私はカタカナ表記を付けるべきではないと思っています。
なぜなら、初心者であればあるほど、カタカナをそのまま読んでしまいますし、さらに独学であれば、それで覚えた間違った発音を誰も直してくれないからです。
また、カタカナに頼って学習を進めると、いざカタカナが振られていない単語や文章に出くわしたときに、全く読めないとか、読む速度が遅くなることにもなりかねません。
ですから、まず始めに基本の発音をしっかり時間をかけて学習し、どんな韓国語の単語や文章が出てきても、意味は分からなくても読むことはできると言う状態にすることが大切なポイントです。
そういう意味で、チャレンジではありますが、始めからカタカナ表記があまりない参考書を選ぶようにしてください。
文章や会話文を使った学習
最後に文章や会話文を使った学習についてです。
例えば単語や文法を覚えるときに、個別に覚えてもいいのですが、できれば文の中、さらにはいくつかの文をつなげた文章の中で覚えた方が、その単語や文法の使われた方をより深く理解できるようになります。
もちろん中には文章や会話文なしでひたすら単語や文法を学習するタイプの参考書もあるのですが、実際に韓国語を使うような場面と言うのは結局文章や会話になりますので、私は始めからそういったものに慣れておいた方がよいと思っています。
そういう意味で、私は文章や会話文が掲載されている参考書をお勧めしています。
今回の2冊には、両方とも会話文が複数掲載されていますので、どちらも良い参考書だと思います。
ただし「できる韓国語初級」の方が会話文の数が多いので、より多くの文章の中で単語や文法を学べる構成になっています。
ということで、ここまで「できる韓国語初級」がなぜ良いのかという理由をいくつか挙げてきました。
一応フォローしておくと、「ゼロから学べる」にも優れた点があります。
例えば、「ゼロから学べる」では巻末に単語と文法の一覧表が載っていて切り離せるようになっています。ですから、ある程度学習が進んだらその部分だけ持ち歩いて、一気に復習するといったことができます。
その点、「できる韓国語初級」では単語や文法は切り離しできませんし、その代わり各章の会話文の日本語訳や練習問題の解答が切り離せるようになっています。解答の答え合わせはしやすいと思います。
できれば会話文の日本語訳はその次のページくらいに記載して、すぐに確認できるような作りにしておいて欲しかったなと思います。
また、「ゼロから学べる」は1冊で完結していますが、「できる韓国語初級」は2冊になっていて、値段も高いですし管理が面倒だったりします。
それと、「できる韓国語初級」ではところどころに、「隣の人と話してみましょう」みたいな項目があり、独学者というよりも教室で使うテキストとして作られたような印象があります。
しかし、そういった点を差っ引いたとしても、私は「ゼロから学べる」を買うよりは「できる韓国語初級」で学習された方が良いと思います。
最後に、この2冊の比較表を作りましたので参考にしてください。
以上です。
今回は、たくさんの方が使っている2冊の参考書を比較しながら、参考書を選ぶときの観点についてお伝えしてきました。
有名な参考書の中にも良くない本もありますし、無名な参考書の中にも良い本がたくさんあります。
今後も今回のように、韓国語の参考書のレビューをしつつ、皆さんの参考書選びの参考になる情報を発信していたけたらと思っています。
ではまた次回お会いしましょう。
アンニョン。