今まで、韓国語を教えてきて、どうやってハングル文字を教えていけばいいのか色々と考えてきました。
とにかく、文字だから、丸暗記して‼っていってみたり、□、〇とか、日本の己という字とか、そんな感じで説明したりしていたのですが、最終的に辿り着いた一番分かりやすくて、一番発音が良くなって、更に、一番これからの韓国語学習に役立つ覚え方を今日は伝授いたします。
まず、ハングルの文字というのは、とっても覚えやすい象形文字です。象形文字というのは、物の形をかたどって作られた文字の事です。例えば、日という漢字だったら、「太陽ってこんな感じだよね~」って絵文字で表現したのが漢字になっています。
韓国語も象形文字なので、どんな形を基にして作られたのか分かると、意外と「そうゆう事だったの?」って感じで、らくちんに覚えられることができるようになります。
ハングル文字は14個の子音と、10個の母音の組み合わせでできています。
先ほど私がハングルは象形文字だといったのは、左側にある子音字は発音器官の形を基にしていて、母音字は天地人といった陰陽五行という哲学に基づいて作られているからです。これだけ聞くと難しく聞こえますが、実は誰でもすごく簡単に理解できるんです。
では、まず子音字の作られた秘密から見ていきましょう。
子音字は発音器官を象徴している!
子音字は発音を出す喉、唇、舌などの動きを真似て作られています。
子音字14個に、母音のㅏをくっつけると、
가나다라마바사아자차카타파하となります。
この14文字の発音の出る原理を表でまとめるとこうなります。
口の天井部から出す音:가,카
舌で出す音:나,다,타,라
唇で出す音:마,바,파
歯で出す音:사,자,차
喉で出す音:아,하
です。
特徴的には、一番左側にある字を基本として、右に行くほど発音が強くなるので、棒線や点を追加しています。
では、まずは、口の天井から出す音の가,카の発音です。
가,카
この音を出す時に、喉の奥あたり、舌の付け根の部分から空気を出して音を出しているのが分かるでしょうか?舌の形をイメージして、ㄱの文字ができています。
この[ㄱ]に棒線を横にひくと、激音の[ㅋ]になります。
その次は舌を動かして発音する나,다, 타, 라 を見てみましょう。
나, 다, 타, 라
発音するたびに、舌が前歯の裏あたりに当たっているのが分かったでしょうか?
口の中を絵にして見てみると、こんな感じになります。この4文字の共通点は、舌が前歯の後ろに当たっているという[ㄴ]の字になります。
その次は、唇を動かして、発音する마,바,파を見てみましょう。唇の動きを意識して私と発音してみましょう。
마,바,파
この字の共通点は□ですね。
この四角い形は、唇を結んでいる時の形からとってきています。ですので、[마,바,파]を発音しても分かりますが、これらの発音をする時には、一度、唇を閉じないとそもそもこの音すら出ないんですね。
바は日本語の「ぱぴぷぺぽ」「ばびぶべぼ」に近くて、この音を出す時には、唇を一回閉じるところまでは마の音と似ているのですが、若干空気を外に押し出さないといけません。[마]よりも[바]の方が、空気が出るという事で、上に棒線を突き出しています。
파は激音です。この発音では空気を[바]よりも出さないといけないので、空気が出ているイメージで文字が作られています。
次は歯から出す音の사,자,차なのですが、歯の場所を意識して、一緒に発音してみましょう。
사,자,차
これらの字は歯の隙間から音が出ています。
舌の形を型とってㅅという字にしています。
これも사,자,차と徐々に発音が強くなっていくので、強くなるたびに横棒や点を追加していきます。
最後に喉から出す音は、아,하となります。
아,하
これらの発音をする時に口の中に空洞ができているのが分かりますか?つまり奥にある喉から発音を出しているんです。そして、아よりも하の方が発音が強いので、点と棒線を追加して作られます。
これで一通り子音字が終わりました。早かったですね!
発音器官の形に添って、子音字というのは作られているので、それを意識して覚えると、発音をするたびに、舌の位置、唇の動きなどを一人でも確認できるようになります。
天地人を基にしている母音字
先ほど、子音字は発音器官を基にして作られていると説明しましたが、母音字は天地人を基に作られています。
まず、基本の母音字はこちらの(ㅏ,ㅑ, ㅓ,ㅕ,ㅗ,ㅛ,ㅜ,ㅠ,ㅡ,ㅣ)10文字です。
でもこれだけでは読めないので、子音字のイウンㅇとくっつけて、
아야어여오요우유으이となります。
この10文字の母音字は・(点)が太陽を、横棒(-)は地を、縦棒(ㅣ)は人を表しています。
そして、これらの字は陽母音と陰母音、そして中性母音と区分けすることができるのですが、それを表にするとこうなります。
陽母音:아야오요
陰母音:어여우유으
中性母音:이
陽母音というのは、太陽をイメージするように、明るく、軽く、高い音です。
陰母音というのは、陰をイメージするように、暗く、重く、低い音です。
中性母音というのは、陽母音でも陰母音にも属さないことを意味します。
では、まずは一番最初に出てくる아の字を見てみましょう。
아
この字は、人と太陽の組み合わせで、できています。
人が北を向いて立っていたとすると、太陽が昇ってくるのは、東側、つまり右側となります。ですので、右から太陽が昇ってくるいう意味で陽母音となります。「あ~気持ちいい、すがすがしい」の「あ~」と覚えたらいいと思います。
아と似た発音という事で、点を一つ追加して야という発音ができています。これも陽母音となり、「や~、やっぱりついているな」と覚えたら良いですね。
次の陽母音の오から見ていきましょう。오は地平線と太陽の組み合わせでできています。
地平線から太陽が昇ってくるのを連想できるので、「お~(오)、太陽が上がってくる。嬉しいな」と覚えます。
それに一つ点を付け加えると요になり、これも陽母音です。
次に、어여を見ていきましょう。
これは、点と人の組み合わせでできています。人が北の方向を向いた時を基準にして、太陽は西側から、つまり左側から沈んでいくので陰母音です。「お~(어)、太陽が沈んでしまう」と覚えます。
여は어にもう一つ点を付けた形になり、これも陰母音です。
次に우を見ていきましょう。우というのは、地平線と太陽でできています。でもよく見ると、太陽が地平線の下に沈んでいく様ですね。だから、陰母音です。「う~(우)、太陽が沈むのか~」みたいに覚えてしまいましょう。
この우に一つ点を付けた形が陰母音の유になります。
으というのは、地平線だけになるので、太陽の出てない状態になるので、陰母音です。「うー(으)、それは苦しい」ですよね。
이というのは、人が立っているだけになるので、中性母音となります。
こうやって覚えると、ただ漠然と棒線を書いて覚えるよりも、頭にサクサク入ってきますよね。
後はこうやって覚えた基本の子音字と母音字を組み合わせて、ひとつの字にしていけばいいだけです。本当にらくちんですね!
そして、この陽母音、陰母音の概念は早い段階から知っておくと、これからの学習にすごく役立つ2つのメリットがあります。それは合成母音と文法の理解です。
陽母音、陰母音、中性母音の適用例
母音を複数組み合わせて作られる母音を、合成母音と言います。
合成母音は全部で11文字あります。
애, 얘, 애, 예, 와, 왜, 외, 워, 웨, 위, 의です。
合成母音は二つの母音を組み合わせてできています。
そして、その組み合わせにはルールがあって、陽母音は陽母音と中性母音とだけ、陰母音は陰母音と中性母音とだけ組み合わさります。
陽母音+陽母音/中性母音
陰母音+陰母音/中性母音
ここでは、簡単に原理について説明するだけになりますが、合成母音は別途の動画で詳しく述べているので、そちらもご覧ください。
와は오と아からできています。오아오아と発音して、와となります。これも、陽母音の오と陽母音の아の組み合わせです。
워という合成母音は우と어からできています。우어우어で워となります。これは陰母音の우と、陰母音の어の組み合わせです。
ですので、陰母音の우と陽母音の아を組み合わせて、우아우아우아で「ワ」という発音も作れるのですが、も우ㅏで字を作ってしまうと、陰母音と陽母音の組み合わせになってしまうので、原則に合わないんですね。
これと同じ原理が、韓国語の擬態語(ぎたいご)や擬声語(ぎせいご)にも出てきます。
この部分は豆知識で知っておくくらいで良いのですが、擬態語(ぎたいご)や擬声語(ぎせいご)は、簡単に言うと、コロコロ、ニコニコ、ガタガタのように、身振りなどをそれらしく音で表したものとなります。
韓国語では、반짝반짝というと、キラキラという意味ですが、これも、반の陽母音と짝の陽母音の組み合わせです。
似たような表現で、번쩍번쩍というと、ギラギラという意味になりますが、これは、번の陰母音と쩍の陰母音の組み合わせです。
単語に全てこの原理が当てはまるわけではないのですが、例えば、
노랗다というと、陽母音の[노]と[랗]の組み合わせで明るい黄色となります。
その反面누렇다というと、陰母音の[누]と[렇]の組み合わせで、ちょっと暗めの黄色となります。
それと同じ原理で文法も見ていきましょう。
「~です」という表現は単語の語幹が陽母音の[ㅏㅗ]だと、[아요]と組み合わせ、[ㅏㅗ]以外だと[어요]と組み合わせます。
例えば、「行く」という意味は韓国語で[가다]となります。[가다]は[가]の部分が陽母音なので、[아]と組み合わせて、[가아요]となり、[아]が省略されて、[가요]となっています。
「食べる」という意味は [먹다]になりますが、の[먹]の部分が陰母音なので、陰母音[어]と組み合わて[먹어요]となります。
パッチムについて
そして、最後にパッチムになりますが、私のパッチムの動画で、詳しく説明しているので、ぜひそれも見てみてくださいね。
韓国語には日本語にはないパッチムという発音があります。日本語の「ん」の発音に非常に近いです。
このパッチムというのは、子音字と母音字の下に来ますが、日本人は、ㅇ,ㄴ,ㅁのパッチムの発音をする時に、常に意識したほうがいいです。
先ほど習ったように、ㅇのパッチムがある時には、口の中に空洞を作る、ㄴのパッチムが来る時には、必ず歯の裏に舌を付ける、ㅁの時には口を結ぶという原則を字を見るたびに、意識しないとちゃんとした発音を出すことができません。
でも、こうやって発音を意識して、字を覚えるとこれから発音が良くなる可能性がぐんと上がります。
いかがだったでしょうか。
ちゃんとした法則を知っておくと記憶にも定着しやすいですし、発音も良くなります。